私が会計士の顔を見ると、彼は平然として何も言わなかった。
私は食事のあとで、
「なぜ、あのオーナーの間違いを指摘しなかったのか?」
と尋ねたところ、彼はこう言った。
「君ならそれくらいのことはわかると思うのだがね。
私が彼の間違いを指摘したところで、
彼に恥をかかせるだけでなんの得にもならないんだよ。
彼が正しいかどうかなんてどうでもいいことさ。
彼は自分の主張を信じたいのだからね。
もちろん、彼の年収が10万ドルあって、私が税務を担当するなら、
彼の間違いを指摘しなければならない。
しかし、彼の年収は10万ドルもなく、自分の自尊心を満たしたかっただけさ。
だから、私がそれについてどうこう言うべきではないんだよ」
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