人を、一冊の本に譬える女性がいました。
「大抵の人は簡単に読み終えてしまう。二度と読み返したいとは思わない。
でもたまに読み終えられない人がいる。私はそんな人が好きなの」
と彼女は言った。
おそろしい、と私は素直に思った。
誰にでもひとつ、地獄がある。
彼女はきっとすべての人を一瞬で終えるでしょう。
もちろん、私のことも。
良い本とはなんだろう。
何度も読み返すに値する本です。
ではそんな本にはなにがあるか。
謎が、意味不明が、ある本だと思う。
その余白があるからこそ、
年齢・状況によって理解が変わる本だと思う。
音楽も映画も同じ。
彼女のこの話を思い出す度、
好きな相手に謎を残すこと、
意味不明であることの大切さを思うのです。
私たちが夢中になるのは、すべてを語ってくれない人ですから。
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