現実を直視する



自分の時間は、あまりにも短い。

その事実を直視するのは怖いことだ。



タフな選択は避けられない。
やりたいことを全部やる時間はない。
さらに、限られた時間の使い方さえも
自分ではコントロールできない。

すべてを完璧にこなせる人なんていない。
体力や才能、その他のいろんなリソースが足りない。


そんな現実を直視したくないから、
僕たちは全力で現実を回避する。
まるでなんの制約もないかのように、
非現実的な幻想を追いつづける。

完璧なワークライフバランス、
やりたいことがすべて実現できる
タイムマネジメント。


あるいは、逆に先延ばしという戦略もある。
難しいことに挑戦して失敗するのが怖いから、延々と先延ばしして
「本気を出せばできる」と思いつづける。

忙しさも先延ばしも、
結局は怖いことから目をそらすための方便だ。


ニーチェは次のように言う。

「我々は生活に必要な以上に熱心に、
夢中で日々の仕事に取り組んでいる。
立ち止まって考える暇ができては
困るからだ。
世の中がこれほど忙しいのは、
誰もが自分自身から逃避しているためである」


僕たちはスケジュールや計画に
強迫的にしがみつき、
未来をコントロールできないという事実を
忘れようとする。


そして同時に、個人主義的に
時間を支配しようとしている。

「時間は自分自身のものだから、好きなときに好きなことをやるべきだ」と
現代人は考える。


でも実はをいうと、
何かをやり遂げようと思うなら、
他人との協力は不可欠だ。

結婚や子育ても、ビジネスや政治も、
やるべき価値のあることは
自分ひとりでは実現できない。

その事実に直面しなくてすむように、
僕たちは「自分の時間」という考え方に
しがみつく。
他人に身を委ねて、
心が傷つくのが怖いからだ。


自分には、限界がある。
その事実を直視して受け入れれば、
人生はもっと生産的で、
楽しいものになるはずだ。

もちろん、
不安が完全になくなるわけではない。 
限界を受け入れる能力にも限界はある。

だとしても、
これだけは自信を持っていえる。

現実を直視することは、
ほかの何よりも効果的な時間管理術だ。

限界を受け入れるというのは、
つまり「何もかもはできない」と
認めることだ。

自分がやりたいことも、
他人に頼まれたことも、
すべてをやっている時間はない。
絶対にない。
だから、それを認めて生きる。

そうすれば、少なくとも無駄に
自分を責めなくてすむ。
タフな選択はいつだってやってくる。

大事なのは、意識的に選択することだ。
何に集中し、何をやらないか。
どうせ全部はできないのだから、
少なくとも自分で決めたほうがいい。




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